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植物仲間インタビュー企画*広島編~「野呂山学園」小田原裕紀さん~

「植物仲間インタビュー企画」は、植物をキーワードにさまざまな活動をされている方々に、ご自身の経験をお話いただくという内容です。
詳しくはこちら→「about植物仲間インタビュー企画」

野呂山のふもとにある「障害者支援施設野呂山学園」では、障害のある利用者さんが育てた花苗を一般のお客さんに販売することによって施設と市域の交流をもち、社会に出て行くための自立支援を実践しています。

その「野呂山学園」の代表管理者、小田原裕紀さんに同学園で行われている園芸福祉、園芸療法についてお話を伺いました。

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小田原さん

日本一地域交流のある施設をめざす

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野呂山学園に着くと、入り口向かい側の大きなハウスが目につきます。

この中で育てた花苗を一般の方に販売しているので、私が訪問したときにも次々と車で花苗を買いにお客さんが来ていました。

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ハウス

施設と地域を結ぶ軒先販売

小田原さんが施設内で利用者による花苗育成、販売を始めたきっかけとなったのが「園芸福祉のすすめ」という本との出会いでした。

本を読んで、花を育てていると周りの人たちから「きれいになったね」「次は何を植えるの」など反応が比較的長期間あり、そういった反応が利用者さん達の自信につながっていくということに気づき、園芸福祉士の資格を取得。

利用者さんの思いを重視するだけでなく、福祉としての園芸効果を意識した結果、ここ野呂山学園で利用者さんが生産した花苗を施設の入り口で一般に販売をするといういわば「軒先販売」を実践しています。

直接利用者さんとお客さんが自然にコミュニケーションする場があるという施設はありそうでないですね。
私が知っている施設では、利用者が作った農作物を別のところで販売しているというケースが多く、そこでは商品だけが買われていくので育てた利用者に直接接するということはありません。

軒先販売というスタイルだからこそ普通にお互いの関係ができ、認め、信頼し、という流れができるのだと思います。

質の高い花苗生産で自立支援

わざわざ施設に足を運んでまでそこで生産されているものがほしいという心理は、ただ価格が安いからというだけでは継続できませんよね。

野呂山学園では土づくりからこだわっているのです。

花の育苗はなんといっても土の質に左右されます。
こちらでは土をブレンドする工場もあり、基本地元の土をつかっているとのこと。
花苗も質のいいものができるしほとんどの工程が地産地消でまわっているってすごい。

小田原さんは、「野呂山学園の花苗に対する消費者の評価が高いからこそ、お客さんは学園まで足を運んでくれる」「そのことは利用者は職業人としての自信につながっていく」と話されます。

この感覚にはものすごく共感します。

どんなビジネスでも、価格や話題性や利便性だけでは継続した売り上げはなかなか立てられません。
継続した売り上げを上げていくには、まず商品の質が重要です。

それだって、良質なものはできるけどあまり良くないものもあるというムラがあっては商品として成り立っていくことができません。
売り上げを継続して立てていくためには、まず安定した良質の商品の供給が大切ですよね。

小田原さんの実践している軒先販売は、利用者さんが自立していくために必要なハードルを上手に組み込んでいるシステムなんだなと思いました。

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ハウス

周囲の反応が自信につながる

花の育苗は自立支援の一つの方法ですが、作業内容は細かく分かれています。

障害が軽度の人は半年後の収穫を楽しみに待つことができるので、半年先など長期の目標も結果に結びつけることが可能です。
しかし、重度の方は先の楽しみよりも即結果が出ることの方が合っている。

また、毎日同じ仕事をすることがいい人、いつも違う作業をすることが合っている人など、人によって作業の内容も違ってきます。

たとえば、野呂山学園では年間30万ポットの花苗を生産しています。
ということは、それだけ大量の種まき作業をするわけです。
これはひたすら単純作業の繰り返しですが、その作業が適している人にとってはそれがベストな作業なのです。

いずれの作業も花苗を作る作業というのは同じですので、自分たちが関わった花苗を販売したり植えたりすることによって周囲の人たちから反応が得られます。

その反応が利用者本人の「自分たちがこれをやったんだ」という自信につながっていくというわけです。

自信は利用者さん達が社会に出て行くステップになることは間違いありません。

利用者さんがそれぞれの適性で無理なく作業をし、品質のいい花苗を作り、施設内で軒先販売をすることによって外部から人が来る。
人が来れば会話もするし、声がけもするので利用者さんたちは施設にいながら社会とのギャップを縮めていくことができます。

小田原さんが「日本で一番福祉に関係ない人が出入りする福祉施設をめざす」という意味がよく理解できました。

インタビューを終えて

ちょうどお話を伺っていたときに広島ならではの牡蠣の種付け作業用のホタテが大量にありました。

牡蠣の種付けは、牡蠣の放卵期に、ホタテの貝殻を連ねたものを海中に垂らし、浮遊する卵をホタテの貝殻に付着させます。
学園での作業は、業者ごとに決められた枚数を、ホタテの貝殻の中央に空いた穴に針金を通していく作業。
貝殻の形状は様々なため機械化しにくい作業であり、集中力を要する作業だとのことでした。

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ホタテ

野呂山学園を含む社会福祉法人広島岳心会、広島県知的障害者福祉協会の理事や、ひろしまね園芸福祉協会の代表など、沢山の要職に就いている小田原さんですが、直接お話をするとカープ好きの気さくな方^^

当日夜は進藤さん小田原さんをはじめ、中国新聞の記者の方や呉市役所の方、蔵元水龍の4代目中野光次郎さんたちとも楽しく過ごさせていただきましたが、「やっぱり行動する方達は吸引力がすごいな~」と実感。

今まで生花販売という小売業の世界でしか花や園芸をとらえていませんでしたが、園芸福祉という世界を教えていただき本当に目から鱗のことばかりでした。

微力ながらこのような活動をもっと知っていただけるよう発信していきたいと思います。

お忙しい中感謝感謝です。
ありがとうございました!

会社情報

社会福祉法人広島岳心会
障害者支援施設「野呂山学園」
管理者 小田原 裕紀

〒737-0161
広島県呉市郷原町2380-181

電話0823-77-0111  FAX0823-77-0112

野呂山学園HP

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