2018/04/191 Shares

「世界の花事情」花きセミナー~拡大する欧米と低迷する日本

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先日、ホテルメルパルク東京で開催された花きセミナー「世界の花事情」に行ってきました。

平日にもかかわらずホールには花き産業の関係者の方々が大勢参加していて、関心の高さがひしひしと。

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タイトルの「世界の花事情」を講演して下さったのは、クリザール・ジャパン(株)取締役副会長の海下展也氏。

日本の花き小売り産業の現状
花きの効用と花卉がある生活への運動
世界のパラダイムと下記のある生活を拡散
花卉業界の変革
花きのプロモーションと東京オリンピック・パラリンピック

について話してくださいました。

日本は減少、欧米は需要が倍増

日本の花卉産業は1992年をピークに年々需要が減少しているという現状が。
「花屋業界の現状とこれから~リアルを知ると対応もできる~」参照

ところが欧米ではここ20年間で花き小売り産業の需要が2倍になっているというデータがあります。

一応先進国の日本のはずなのに、それって関係ないのか。。
先進国なら生活にゆとりがあって、花を飾って楽しむ豊かな日常があるはずなのに。

どこに違いがあるんでしょうか。

確かに生活環境の違いや文化の違いはあると思います。
とはいえ2倍増加とは、何か働きかけをしていなくてはありえない数字です。

世界の花を短時間で仕入れるしくみ

海下さんのお話を伺っていると、どうやらインターネットの広がりが花き産業の流通にも大きく影響しているようです。

例えばオランダ花き卸売市場では世界中の花をwebで仕入れることができ、これによって流通内のコストが15%減り、ECにおける花き消費は20%アップ。

つまり、商売と物流を分けて無駄な動き(ロス)をさせないということです。

直接世界中の生産地からネットで希望する花を注文し、ロジスティック費用などを換算した金額を加算して数日後に店頭に並ぶ。

店舗は市場が集荷した花だけでなく、もっと広い範囲で希望する生産者の花を買うことができ、生産者はあらかじめ注文された本数を確定販売することが可能なので計画生産が可能になる。

広い意味での直販体制みたいなものかな。

個人の店がやるにはまだちょっと時間的な負担が大きいですが、スーパーやホームセンターや大手小売店など大量仕入れが可能でweb仕入れ専門のスタッフがいればやる価値ありですね。

花きの購入を促すには

流通がしっかりと確立していれば、生産、市場、仲卸、小売り、消費者というラインが順調に機能し、需要を増やす施策もたくさん試みることが可能になります。

たとえば、ヨーロッパの花卉小売店では一昔前の安い花を大量に販売するスタイルから、ライフスタイルの提案や日持ち保証による顧客満足サービスを高め、付加価値の高い販売方法によって売り上げを伸ばしています。

MPS認証(花き産業総合認証)による安心安全の花という取り組みも盛んです。
花きの生産や流通上の環境負荷の低減や鮮度・品質の管理、社会的な責任に対する様々な取り組みを認証しているので、これによって花を購入することで一般の人が社会的な責任を果たすことができるという効果も。

また、花の特徴でもあり長所でもある「気持ちを伝えるツール」という点を意識して、人と人とのつながりを意識した店舗展開、販売方法も需要の増加を促す原因にもなっています。

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日本の花き小売り市場は約30%がギフト市場で同じくらいの割合で家庭用の需要があります。
家庭用はそのほとんどが仏花需要です。

仏花は高齢化や住宅事情、家庭環境などの変化によりこの先年々需要が減っていくとされています。
ということは、それに代わる家庭用花の需要を高めなくては花き小売り市場全体の流通が減少するということに。

1人当たりの花の消費では、日本では年間一人当たり5~6本の花を消費していますがオランダでは一人当たり20本以上の花を消費しています。

単純に、家庭用の花が増えると花に関心を持つ人が多くなるわけでスライドしてギフトの需要ももっと増えることに。

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上図で見られるように、現在日本はstep3.

人口減少に伴い婚礼や葬儀の仕事花がだんだん伸び悩み、QOL(クォリティオブライフ)による豊かな生活の追求で家庭花が伸びるかな~どうかな~というところ。

これがstep4になれば生活の中に花が欠かせない状態になり=家庭花の普及、気軽に花を贈りあえる=カジュアルギフトの伸長につながっていくというわけですね。

需要の細分化で消費を促す

海下さんのお話でなるほど♪と思ったのが需要の細分化です。

たとえば「ありがとうブーケ」や「ごめんねブーケ」などの提案です。

花は気持ちを伝えるツールになります。

もっと気軽に使うことができれば、ちょっとしたタイミングに言葉の代わりに花を使って表現することもできるわけです。

アイデア次第でもっと細かく感情を分けて言葉にして、それぞれのタグやカードを作って添えれば無限につくることができますよね。
この話を聞いてついつい洗剤を思ってしまいました。

洗剤っていまや汚れを落とすのはもちろんですが、細かい用途によってめちゃくちゃたくさんの商品が同じメーカーからパッケージを変えて販売されていますよね。

ガムやチョコレートもそう。

用途によってパッケージを変えて中身はほとんど同じでも、提案をしているというわけです。
花にもこれ、絶対通用しますよね。

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現在小売りの半分は花屋さんですが年々減少の一途をたどっています。

とはいえ悲観することはないです。
要は販売に対する価値観を変えていけばいいんです。

欧米で花の需要が拡大している背景には、花というモノではなく提案というコトを売るという販売に移行したということがあります。
これ、マーケティングでは当たり前のことですよね。

昔は花屋さんでしか花を変えなかったかもしれませんが、今はスーパーやホームセンターやコンビニでも花は買えます。
しかし、花に気持ちを託したいお客さんならただ花を買うのではなく、何か語りかけるPOPや相談に乗ってくれる店員や気の利いた演出のある店を選ぶはずです。

SNSの活用でファンづくり

SNSをうまく使って販売促進をしている例もありました。

たとえば贈りたい、贈られたい花のお投票をしてもらうとか、「誇らしげなお母さんフォトコンテスト」なるものを開催してお母さんがもらって喜ぶ花を紹介したり。

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これを見た人が、あ、自分もお母さんにそんな花束を贈ってみたいなと思って花を買うわけです。
いいな♪と思って花を買うチャンスを増やすというアプローチですね。

インターネットとともにどんどん流通や販売方法が変わってきているのは確かです。
そしてそれは止められないし昔に戻ることもできません。

「いやいやうちはそこまでできないから」とか
「ネット苦手だし」とか
「そこまでする時間がないよ」とか
「そんなこと言っても売れるときは普通に売れるよ」とか
「提案て言ってもね~」とか

とかとか、いろいろ言い訳はできると思うのですが、世界の実情はそういうわけで伸びているけど日本の需要は減っているということです。

今回の海下さんの講演ですが、本当はもっともっとお伝えしたいことが満載でした。
2部では花き産業にかかわる第一人者の方々のパネルディスカッションもあり、そちらもためになる内容だったし。

コールドチェーンのこととか、アジア、太平洋へ需要を伸ばしていくこととか、花きの効用についてとか、おったえしたいことが山盛りです。
また内容をピックアップして分けて記事にしていこうと思っていますので、できたらアップしていきますね^^

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